Craig Eye
最終的には、自らが「重要な意思決定」をしなければならないことに、我々は度々直面する。
その時、我々はどうしたら良いのか。
これは、私の体験的三つの心得である。
昼は仕事をして、夜は親しい友人と旨い酒を飲んで大いに語り合うのが良い。抱えている問題を信頼できる友人に語ることでモヤモヤを発散できるうえに、場合によっては解決策のヒントが貰えたりする。専門的な問題には、友人がまたその友人の専門家を紹介してくれたりもする。やはり、夜は人との交流の時間である。大いに楽しむ時間なのだ。
夜ひとりで重要な問題を考え込むと、どうしても悲観的な結論に導かれがちのような気がする。
それでは、いつ考えるのか。重要な意思決定は朝するのが良いと思う。
朝、キラキラ輝く陽を浴びて、歩きながらするのが良い。まず西に向かって歩き身体を温める、頃合いを見計らって東に踵を返す。眩しい太陽の光を全身に浴びて、自らの重要な問題を反芻すると、なぜか展望が開けてくるから不思議である。
朝、歩きながら考えることが心得其の一だとすると、其の二は頭だけで考えずに“身体で考える”ということだ。初めは戸惑うかもしれないが、慣れてくると“身体で考える”ということがどういうことかが分かってくる。
朝、起床して水を飲み洗面して歩き始めると、自分の身体が少しずつ眠りから醒めるのを感じる。
合唱コンクールで全国的に有名な近所の小学校の前を通ると、早朝練習の小学生とは思えない清々しい歌声が耳に入る。四季折々の風景も、日々新しい発見がある。これからの時期は、冷たい風を体感するのも心地良い。歩き始めてしばらくすると、どうでも良いことは洗い流され、本質的なことが極めて簡単な形で見えてくる。結論は今日決めても良いし、一か月先延ばしにしてもなんら問題ないことも分かってくる。
若干複雑な事情が絡み合っていて、解きほぐすのが難しそうに思える事柄も、意外に本質はシンプルなのだということも。
我々はストレスに満ちた社会に暮らしているが、心得其の一、其の二を習慣化しておけば、大きなストレスを溜めこむことなく自律的な社会生活を送れそうに思う。
ただ、自らの人生を左右するような、極めて大きな意思決定の場合は其の三が必要かと思う。
その時はどうするか。
まず、考えうる最悪のシナリオを徹底的に考えつくすことだ。例えば一週間というように期限を限定して、悲観的な要素を書き出すのだ。小さなカードを常に身の回りにおいて、思いつくたびに
書き留めるのもよい。そして、自らが“考えうる最悪のシナリオ”を描き出すのだ。
その上で、再び其の一、其の二を適用し、こう考える。
「なぁんだ、最悪の場合でもこんなものか、命を失うことはない。生きてさえいれば、また頑張って何とかなる。今までもやってこられたのだから。これからはもっともっと強かに生きよう」と。
執筆者 田野道夫