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「わかる」と「できる」

 

息子が通う小学生向けの塾で、先生がおもしろい話をしてくれました。
「受験を目指すといっても、皆まだ小学生です。模試の点数が悪くても怒らないで下さい。うちの塾にいる子供たちは、勉強しなければ模試の点数が上がらない、勉強しないと受験に受からない、ということはわかっているのです。でも、この“わかる”を“できる”にすることが難しい。勉強しないといけないことはわかっているのですが、つい漫画を読んでしまったり、テレビをみてしまって勉強ができないのです。ですから、“わかる”を“できる”にすることができれば受験は成功します。親の皆さんへのお願いは、子供たちの“わかる”を“できる”にする手助けをして欲しいのです」

この塾の先生のお話は、わたしが最近読み聞きした中では出色の言葉でした。「わかる」と「できる」に差があるのは、子供だけではなく大人も同じでしょう。仕事のよしあしを決定づけるのは、「わかる」をいかに「できる」にしていくかにあるのだと思います。
たとえば、仕事の能率をあげるハウツー本に必ず書いてあることのひとつに、「明日の仕事を今日のうちに取りかかる」というものがあります。仕事をきりのいいところで終わらせるのではなく、明日やる仕事の一部でも今日のうちにやりましょう、そうすれば明日の仕事をゼロから始めるよりも何倍も効率化できる、という内容です。これはわかりやすい仕事術ですが、案外“できる”は難しい。残業で疲れてくると、きりのいいところまですらやり切れず、まあ明日があるから明日やればいい、となってしまうことが多いものです。

同じことを、今年の夏の節電対応結果を見て感じました。
東京電力が今年の夏の節電効果(ピークアウト効果)を発表していて、前年の7月23日14:00-15:00 気温35.7度と今年の8月18日14:00-15:00 気温36.1度を比較して使用電力がどの程度減少したかを公表しています。(2011年9月26日 東京電力節電効果の内訳試算から引用 数値は試算値) 
これによると全体の電力使用量は、昨年の約6000万kWから今年の約4900万kWに減少しています。内訳を見ると、大口需要家は約600万kW減で前年比約30%減少、小口需要家も約400万kW減で約20%減少、家庭用は約100万kW減で約6%減少でした。
上記の数値を見ると、企業の節電・ピークアウトが相当の効果をあげたのに対して、家庭用は前年比で思ったより少ない減少幅に見えます。もちろん、大企業は自動車関連産業が木金休みにして(8月18日は木曜日)集中的に節電を行った効果が含まれたり、当日の暑さが昨年より酷く、家庭用の需要がたまたま増えたという見方もできると思います。
しかし一方で、大震災の影響で節電を行わなくてはならないという「わかる」を「できる」につなげるのは、法律で強制された企業の方が勝った、という感想も持ちます。ここでも「わかる」を「できる」につなげることの難しさが浮き彫りになったように感じます。

前出の塾の先生の話には続きがありました。
「“わかる”を“できる”につなげる難しさ。きっと大人の皆さんも覚えがあるでしょう。そう、ダイエットがそうですよね! ダイエットしなければいけないと皆わかっているのにできない。これと同じです」 
会場には諦観にも似た笑いが広がりました。皆さん、同じように難しさを実感されているようです。

執筆者 小河 光生

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